学資保険とは
『学資保険』とは、その名の通り子供の為の教育資金を貯める保険です。
毎月、保険を掛け続ける事によって、掛け金より多くの保険金を受け取れる商品もあり、保険金も子供の入学に合わせて
『小学校入学時』
『中学校入学時』
『高校入学時』
『大学入学時』
に一時金として受け取れる便利な商品もあります。
しかも、
契約者である親が死亡すると、以後の保険料は一切支払い無用になる上に『保険金』はしっかり満額受け取れます。
今は入院しても入院給付金が受け取れる商品もあります。
これだけ読むと、至れり尽くせりな印象ですが、果たしてそうでしょうか?
答えはNOです。
しかも、FPの僕から言わせると『全く使い道の無い残念過ぎる保険』だと言えます。
この記事では、なんで僕が学資保険に入らないのか?
の理由を4つ述べていきます。
今、もし学資保険を検討されている段階であれば、この記事に巡りあえたのは非常にラッキーだと断言しておきます。
理由は『学資保険』に入る事を断念出来るからです。
そして、すでに加入されている方にとっては、非常に悲しく腹立たしい記事になっていますが、今一度大事なお子様の為に気持ちをグッとこらえて、現実をご覧頂ければと思います。
ぜひ、最後までご覧下さい。
学資保険入らない理由① 利率が少な過ぎる。
学資保険に加入する理由として、『貯蓄性』の高さが挙げられます。
子供の為に少しでもお金を増やしてあげたいのはどんな親でも共通の思いですよね。
もちろん僕もそうです。
そして、銀行預金の利率が低過ぎる今、少しでも多く残す手立てとして『学資保険』を検討する訳ですが、2020年9月現在、最も効率の良い『学資保険』でも利率はたった105%程度です。
しかも、信じられないのが他のほとんどの商品が元本割れしてしまうという所です。
えーっ!!!
お金を増やそうと思って掛けているのに、せっかく満期まで貯めた時にはお金が目減りしてるって事ですか?
そういう事です。
『学資保険』は
『貯蓄』+『生命保険』のセット売りが基本です。
なので、毎月1万円掛けていたとしても、1万円全部を
積み立てている訳じゃないんですよ。
そうなんですね。
じゃ、利率が高い105%の商品なら5%も増える上に『生命保険』も付いてくるので良いですよね?
うーん。
22年間で5%しか増えないのですよ?
効率が悪すぎます。
でも、今は銀行に預けても0.001%しか増えないんだから
5%+生命保険までついているのならお得だと思いますけど!
僕もFPを取得するまではそう思っていました。
しかし、実際はお得とは程遠いものなのです。
深掘りしていきますね。
利率が5%もあれば100万円が105万円になって返ってくるので5万円もお得だ!
と思うのは早計です。
なぜかと言うと
比べる対象が全く違うからです。
基本的に、
『銀行預金』の金利は『1年間』の利率を表しているのに対し、
『学資保険』は(*1)22年間での利率を表しています。
(*1)加入時期や商品により異なる。
例えば、
『私は1,000万歩歩きましたよ!』
と言われれば『凄い!』となるでしょうが、
『いや。22年間でですけどね。』
となると、『1年間でじゃないんだ。それだったら普通じゃん』
っと思ってしまいますよね。
それと同じ事で、
『学資保険』は
『返礼率105%!』と言われると、いかにも
『スゴい!』って思ってしまいますが、中身は
『いや。実は22年間でですけどね。』って事なのです。
なので、
比べるとすれば、どちらかと同じ年数。
『22年間』もしくは
『1年間』の金利に合わす必要があります。
下記に普通預金との比較をしてみました。
『学資保険』の中で一番利率の良い商品(約105%)と『普通預金』で利率の良い商品(0.2%)の比較。
学資保険 | 普通預金(税引後) | |
1年 | 0.39% | 0.16% |
22年 | 5% | 2.23% |
こんな感じです。
『学資保険』も1年間の利率にすると、0.39%しかない事が分かります。
逆に、銀行の普通預金で利率の良い銀行だと0.2%ですが、22年間放置で2.23%の利率になりますので、資金拘束などのリスクが全くなく、この利率であれば『学資保険』よりも優れているのではないかと思います。
しかし、僕自身は
『保険』よりも
『預金』よりも
『投資』で資金を貯める事を強く推奨します。
僕が対面で『投資』、と言うと身構えてしまい、話しを聞く事すら拒否される方がほとんどですが、初心者でもほぼプラスになる事は可能です。
そして
僕をはじめ、他の素晴らしい投資家さんも推奨する、基本的なやり方さえキッチリ守る事が出来れば年利5〜7%程度で増やす事は可能です。
興味があれば、
この記事で負けない原則を学んで頂ければと思います。
最後に、『普通預金(0.16%)』vs『投資信託(6%)』vs『学資保険』の金額ベースでの合計を見てみましょう。
※支払い額は学資保険に合わせています。(11年払い込み。22年満期)
普通預金 | 投資信託 | 学資保険 | |
支払い合計額 | 189.1万円 | 189.1万円 | 189.1万円 |
22年後 | 194.3万円 | 488.3万円 | 200万円 |
いかがですか?
投資信託で6%で運用できるとケタ違いに資金が増えていますね。
『投資』なんて考えた事のない方には、
そんな簡単に上手い事いく訳がない。と思ってしまいますよね。
確かにそうかも知れませんが、ここ100年の成果はどこを切り取っても22年間と言うスパンで見ればマイナスになった事はたった1度もありません。
6%という数字も別に高く見積もっている訳ではなく、『投資信託(インデックスファンド)』を淡々と積み立てている方の極々平均的な数字です。
オマケに、『普通預金』や『投資信託』はいつでも換金可能ですが、
『学資保険』は換金する為に解約してしまうと、ほぼ確実に元本割れします。
特に年数の浅い内に解約すると、積み立てた半分程度しか資金が返って来ない。なんて商品もあります。
『半分』と言うと
投資信託で、大暴落の一番『底』の落ち込みが半分程度なので、大暴落の渦中に売り買いしてしまい、上手に大損をしてしまった場合と同等と考えて良いと思います。
まとめますと、『学資保険』は、
- 途中解約すると、もれなく目減りする
- 契約年数が短ければ、『途中解約』=『投資で大暴落した時』と同程度の損失
- 利率は、一番良い商品で普通預金の倍程度
- ほとんどの商品が元本割れ
これが、僕が『学資保険』に入らない理由の一つ。『利率が安過ぎる』と言う所です。
これだけでも、『学資保険』に嫌気が差した方も多いと思いますが、僕が『学資保険』に入らない理由はまだ3つもあります。
見ていきましょう。
学資保険入らない理由②途中解約しにくい
先程も少し触れましたが、
学資保険は、途中解約するとほぼ100%元本割れします。
下記はざっくりのイメージの表です。
年数 | 返戻率 |
1年 | 60% |
5年 | 90% |
10年 | 95% |
15年 | 97% |
契約年数が短い程返戻率が低くなりますし、満期近くまで掛けていてもまだ元本割れします。
元本割れするのは当然皆さん嫌なので、
結果、
途中解約しない。
と言う手段を選ばざるを得ない状態になってしまいます。
実際、高校が私立になり多額の資金が必要になってしまっても、解約すれば元本割れしてしまいます。
また、救済制度として、『貸付け制度』と言って自分で積み立てた資金の中から、利息を支払ってお金を借りれる。
と言った謎過ぎる制度もありますがこれも『学資保険』に加入してしまったばっかりに背負わなければいけない利息です。
現金を増やす為に『学資保険』に加入しているのにいつまで経っても元本割れしてしまい、無事『満期』まで貯めた所で年利0.4%程度の利息しか付きません。
挙句、途中解約するともれなく元本割れしてしまい、自分の貯めた資金は利息を支払って使わなければいけない。
と言う、まるで保険会社にお布施でもしているかの様なひどい扱われ方の保険です。
これが、僕が学資保険に入らない理由の2つ目の理由です。
学資保険入らない理由③いらない保険のセット売り
学資保険は基本『貯蓄』+『生命保険』のセットになっています。
どう言う事かと言うと、
『学資保険』は契約者である『親』が亡くなると、以後の保険料は全て免除になります。
その上で、満期時の『保険金』は『満額』受け取る事が出来るのです。
つまり、『満期金』が200万円だとしたら、200万円の『生命保険』がセットで付帯しているのと一緒です。
もう少し詳しく言うと、
『保険期間が22年間』の『収入保障保険』の『生命保険』が付いている感じです。
資金を増やす為に加入する保険なのに、掛け捨ての保険がセットで付帯してしまっているので、
『貯蓄』と言う目的からも逸れてしまいますし、
『もしもの時の為の備え』としては、コスパが悪すぎます。
『生命保険』をすでに掛けている人は『生命保険』を2重に掛けてしまっている事になりますので、完全に無駄な費用になってしまいます。
最近は『契約者』が入院した際に入院給付金が受け取れるタイプの『学資保険』もあり、
そうなると、
『貯蓄』+『生命保険』+『医療保険』と3つの保険に強制加入しているのと同じ事になってしまい、当然、その分『貯蓄性』は悪くなります。
『学資保険』が満期でも元本割れする商品が多いのはこう言った理由からです。
『生命保険』が必要な方は『掛け捨ての定期保険』か『収入保障保険』でカバーし、
『貯蓄』は『保険』ではなく、『運用』でするのが賢い選択と言えます。
賢い生命保険の加入方法については、
これが、僕が学資保険に入らない理由の3つ目です。
学資保険入らない理由④実は肝心な時に保険金がもらえない
『学資保険』は、満期時に一気に満額がもらえるタイプと、何回かに分けて必要時に資金がもらえるタイプがあります。
参考:学資保険返戻率.com
上記の様に、
小、中、高の入学時に一時金として受け取れ、最もお金がかかる大学時に毎年50万円ずつ受け取れる。など必要時に必要分だけを受け取れるタイプが主流となっています。
一見、良さそうに思うのですが、
学費の掛かり具合は『公立』か『私立』かによって大きく変わってきます。
従って、
もし『小学校』で私立に入学。なんて事になれば、一時祝い金では足りませんので、他で貯蓄しておく必要が生じてしまいます。
他にも、中学生の段階で『大学進学はしない代わりに高校は私立』と決めてしまっていたり、リストラにあってしまい、急に資金が必要。なんて時にも資金は受け取れません。
そして極めつけは、
商品によってはまとまったお金をもらえるのは『大学卒業時』。と言った、
もはや『学業の為』でも何でも無い商品もあります。
『学資保険』は、小中高一律の祝い金しか出ないのでイレギュラーな事があると、たちまち対応出来ません。
つまり、本当に必要な時に必要な額を受け取れないのです。
それなら、いつでも必要額を引き出せる『銀行預金』や『投資』などの方が正しい選択だと言えます。
これが、僕が学資保険に入らない理由の4つ目です。
【FPの僕が学資保険に絶対入らない4つの理由】まとめ
いかがでしたでしょうか?
保険は『予定利率』と言うもので決められるのですが、この『予定利率』が下がり続けていて、僕個人的には、すでに『学資保険』と言う商品のビジネスモデルは崩壊していると感じています。
少し前であれば、10%程度資金が増える商品もザラにありましたが、今は逆に目減りしてしまう商品がほとんどです。
つまり、予定利率が下がった今、
『お客様に資金を上乗せ』し
『生命保険を付帯する』と言った商品構造に『無理がある』のです。
最後に、僕が学資保険に入らない理由のまとめをしておきます。
- 予定利率が普通預金の倍程度で低過ぎる。(最も利率が良い商品で)
- 満期になるまで元本割れするので解約しづらい。
- 『貯蓄』の為の保険なのに『生命保険』などの商品がセット販売されている。
- 本当に必要な時に必要な保険金が受け取れない。
すでに、学資保険に加入してしまっている方は『損切り』してまで『解約』しようか迷う所だと思います。
もし、僕ならどんなタイミングであれ『即 解約』しますが、あなたが解約するかどうかは、
- あなた自身の『投資』に対する考え方
- 余裕資金がどれだけあるか?
- 現段階の『学資保険』の年数
によって異なってきます。
お子様の将来の為にも、是非一度ご相談頂けたらと思います。
間違っても、『学資保険』を提供してくれた『保険屋』になど相談してはいけません。
『低解約返戻金』タイプの貯蓄保険や
『米ドル建て終身保険』。
もしくは、解約せずに『払い済み』保険に切り替えましょう。
と、もっと『複雑』で『訳の分からない』保険に加入させられるのがオチです。
かなり辛口な事を述べてきましたので、すでに加入されている方にとっては、僕に文句の一つも言いたくなったと思います。
しかし、僕もあなたも共通点は
『子供を持つ親』として
『子供の為にしっかり学費を貯めてあげたい』のです。
ただ、その為の手段が
『完全に間違っている』ので僕は心を鬼にして言わせて頂いた次第です。
僕にご相談頂くか、
このブログを読み漁ってもらうと、もう少し上手なお金の使い方が身につくと思います。
非常に上から目線で失礼な言い方になりましたが、
かけがえの無いお子様の為に。はたまた少しでも生活にゆとりが出て楽しめる様に一緒に頑張っていきましょう。
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最後までご覧いただきましてありがとうございました。
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